2022/12/26 17:21

文学研究というものは煮つめてみれば歴史学か、 
あるいは哲学である。 
そして哲学の、魅力ある、 
しかし危険な自由を少しでも恐れたならば、 
人は誰憚らず歴史学の陣営に下るがいいと思う。

歴史学、つまり実証を旨とする文献学、伝記学である。 
しかし、世間の「文学研究家」は、どういうものか 
歴史学と哲学の間を往反して、 
それが文学研究だと思っているようである。

ところが本当に自律的な 
「文学研究」などというものはあり得ないのである。 
精々のところ、文学作品あるいは作家を研究材料にした 
応用歴史学あるのみだろう、方法論的に厳密にいうならば。

『粋と野暮のあいだ』 written By 高橋義孝