2026/02/16 17:44
能登半島地震で解体される直前の蔵から、
引き取らせていただいた一枚です。
その蔵は、明治から代々続いてきたこの地区の名家のもの。
町の集まりの際に実際に使われていた器と聞いています。
鮮やかな赤絵の地に金彩の唐草。
やわらかな水色の窓絵。
中央には染付で描かれたクルス模様。
異国の意匠でありながら、
伊万里の中で自然に調和しているところが魅力です。
中央のクルスはどこか愛らしく、
器全体の印象を軽やかにしています。
縁は輪花のかたち。
手に取ると立体感があり、光の当たり方で表情が変わります。
釉薬はやや甘手。
時代を経た器らしい、柔らかな風合いがあります。
町の人々の時間を受け止めてきた器が、
また別の場所で時間を重ねていく。
それが「めぐる」ということだと思っています。
