2026/08/27 21:09

輪島塗の膳が2点と、檜の根来盆が1点。同じ「漆」の器でありながら、それぞれに異なる表情があります。
名家の蔵に残されていた、金蒔絵の吸物膳
私たちが暮らす町の名家の蔵からレスキューした、輪島塗の吸物膳です。
買い受けをご依頼くださった方のお祖父様は茶人で、長年にわたり大切に集められた茶道具や古美術の中に、この膳も静かに残されていました。
艶やかな黒漆に金蒔絵で描かれた花枝。金を使いながら華美になりすぎず、広く残された余白によって落ち着いた佇まいに仕上げられています。
黒漆に舞う折り鶴、渡辺松悦の懐石膳
こちらは、同じ町の神社近くのお宅からレスキューした輪島塗の懐石膳です。
深い黒漆の上を舞う二羽の折り鶴。蒔絵を手掛けたのは渡辺松悦です。折り紙の稜線から羽の細かな文様まで丁寧に描きながら、周囲には大きな黒の余白を残しています。
極上本堅地による輪島塗の仕事と、松悦による繊細な蒔絵。その両方を愉しめる一枚です。
木と漆の力強さを残した、檜の根来盆
最後は、金沢の市場で仕入れた檜の根来盆です。
前の2点とは対照的に、こちらは整った美しさというより、木と漆そのものが持つプリミティブな雰囲気に惹かれました。
大きく現れた木目、朱漆の縁から覗く黒、擦れや使い込まれた跡。それらも含め、この盆が過ごしてきた時間そのものが表情になっています。
端正な蒔絵も、使われることで育ってきた漆の景色も。
今回の3点を並べると、同じ漆器の中にも、それぞれ違った美しさがあることがよく分かります。
3点とも、megurumeguruのオンラインショップに掲載しています。
