2026/09/07 12:25

古伊万里の染錦金彩の形皿、少し時代が降った染錦の小皿、そして九谷の色絵の形皿。
いずれも草花を描いた器ですが、時代や産地が変われば、その表情もずいぶんと違って視えます。
古い意匠が受け継がれながら、少しずつ形を変えていく。その違いも愉しみながら、3枚を眺めてみたいと思います。
最初は、能登の市場で仕入れた古伊万里の形皿です。
菱形を基調とした端正な器形に、染付と色絵、金彩を重ね、草花が軽やかに描かれています。
華やかな染錦金彩でありながら、文様を詰め込みすぎず、草花の間にはほどよく余白が残されています。その余白によって少し変わった器の輪郭も際立ち、絵付けと器形が互いを引き立てています。
裏返すと、高台内にはどこか可愛らしい銘も。
表側の華やかな絵付けだけでなく、手に取ったときに初めて視つかる小さな遊びも、古い器を愉しむ魅力の1つです。
約16.5×13cm。向付や副菜、菓子などを盛るのにも使いやすく、食卓に1枚加えるだけでも景色を変えてくれそうです。
次も、能登の市場で仕入れた染錦の小皿です。
染付の青に赤絵や金彩を重ね、見込みには草花、その周囲には細かな文様がめぐらされています。
よく眺めると、オランダ唐草の流れを思わせる意匠も残されています。
古伊万里から受け継がれてきた装飾でありながら、時代が降ることで絵付けは少しおおらかに。
端正で緻密な古伊万里とはまた違う、肩の力が抜けたような親しみやすさがあります。
古い意匠はそのままの姿で残り続けるのではなく、人から人へ、時代から時代へと受け継がれるなかで少しずつ姿を変えていく。
直径約11cmという小さな器ですが、そんな装飾の変化も感じさせてくれる1枚です。
最後は、金沢の市場で仕入れた九谷の色絵の形皿です。
八角形を崩したような少し不規則な器形に、赤、黄、青、緑を使って花や草木が描かれています。
なかでも目を惹くのが、見込みに配された可愛らしい花文。
丸みを帯びた花と葉を簡潔な線と色で捉えた姿は、どこかディック・ブルーナの絵を思わせます。
周囲の蔓草や実のような文様は細やかに描かれている一方、中央の花は大胆で素朴。その対比も、この器のおもしろいところです。
古い器でありながら、中央の花だけを切り取って眺めると、現代のイラストレーションにも通じるような感覚があります。
今回は同じ意匠のものを4枚仕入れました。
窯キズをはじめ、それぞれ状態に個体差があるため、oneからfourまで1枚ずつ掲載し、状態に合わせて価格も少しずつ変えています。
同じ意匠であっても、古い器は1枚ずつ表情が違います。それぞれを見比べながら、お好みの1枚を選んでいただければと思います。
古伊万里の染錦金彩、そこから受け継がれていった染錦の意匠、そして九谷の色絵。
3枚に描かれているのはいずれも草花ですが、並べて眺めてみると、その表現はそれぞれです。
緻密さや華やかさだけでなく、ときには少し崩れた線や、おおらかな絵付け、素朴な花の姿に惹かれることもあります。
時代や産地によって変化してきた意匠を眺めながら、今の暮らしの中で使ってみる。
古い器には、そんな愉しみ方もあるのだと思います。
今回ご紹介した3点は、オンラインショップのBASE/STORESに掲載しています。
能登から、次の使い手へ。
