2026/09/08 18:11

能登・中島町からレスキューした、4つの印判皿を紹介します。
今回は、3枚の小さな膾皿と、1枚の木甲形の長皿。
同じ藍と白を基調とした印判の器ですが、並べて視ると、文様の組み合わせや余白の取り方によって、それぞれまったく違った表情を持っています。
住んでいる中島町で、長く印判をコレクションされていた方から数枚まとめて譲っていただきました。
幕末から明治頃につくられたと考えられる4寸ほどの膾皿です。見込みには花文、その周囲には矢羽文を配し、さらに花や細かな文様で器面を埋めています。
印判 矢羽文 4寸膾皿
これだけ多くの文様が入っているのに、不思議とうるさく感じません。
印判ならではの絵付けのずれや藍の濃淡もあり、整然とした文様の中に、人の手を感じさせるおおらかさが残っています。
こちらも同じ方から譲っていただいた1枚。
細かな点が連なる地文の上に、白く抜かれた花が散っています。
眺めていると、この細かな地文が水面のようにも視えてきます。その上に花がぽつぽつと浮かんでいるような、どこか涼やかな景色です。
何の花なのかを決めてしまうよりも、ただ「花」として眺める方が、この器には似合っているように思います。
そして、もう1枚。
よく似た構成ですが、こちらで目を引くのは花のかたちです。
輪郭は単純化され、写実的な花というより、ひとつの記号のようにも視えます。眺めているうちに、どこかミロの絵に出てきそうな、不思議な愛嬌を感じました。
古い器を扱っていると、ときどき現代の絵画やデザインに通じるような文様に出会います。
100年以上前の器でありながら、古さだけでは括れない。そんなところも印判を視る面白さなのだと思います。
伊万里 印判 花唐草文 木甲長皿最後の1枚は少し来歴が違います。
こちらは中島町の商店街にある名家からレスキューした、伊万里の印判皿です。
木瓜を思わせる木甲形の長皿いっぱいに細かな花唐草文が広がり、その中に大きく白く抜かれた花や葉が浮かび上がります。側面にも花文が入り、横から視ても美しい器です。
先ほどまでの小さな膾皿とは違い、こちらは器そのものに強い存在感があります。
料理を盛るのはもちろん、菓子や果物をのせてもよく映えそうです。
印判は、同じ文様を繰り返してつくるための技法です。
けれど、古い印判を何枚も視ていると、決して均一ではありません。
版のずれ、藍の濃淡、器のわずかな歪み。そして、文様そのものの不思議さ。
今回の4枚にも、それぞれ違った面白さがあります。
中島町の家々で長く残され、あるいは誰かが好きで集めてきた器が、また別の場所で日々の食卓に使われていく。
megurumeguruは、そんな「もの」がめぐっていく途中をつなぐ活動でもあります。
今回紹介した4点は、オンラインショップのBASE/STORESに掲載しています。
