2026/09/12 20:05

能登の市場でまとまって仕入れた、九谷の作家・吉田勝山の器。

吉田勝山は1938年、石川県石川郡野々市町野代に生まれ、1963年より作陶生活に入ります。日展をはじめ、日本現代工芸展、中日国際陶芸展、石川県現代美術展などで作品を発表。石川県現代美術展最高賞、金沢市工芸展県知事賞などを受賞し、1989年までに日展へ10回入選しています。

今回仕入れたものには、勝山が制作した作品を記録したアルバムや、制作途中の器なども含まれていました。器には展示・管理のためと思われるシールが残されたものもあり、制作の見本や展示品として残されていた一群です。

今回は、その中から古染付の意匠や筆致を取り入れた4点を紹介します。

まずは、直径約28.2cmの9寸鉢。

内側には長く尾を引く鳳凰を大きく描き、見込みにはクルスを思わせる小さな十字形の文様。そして外側には龍が描かれています。

鳳凰や龍を細密に描き切るのではなく、呉須の濃淡と勢いのある線によって捉えているところに、古染付を思わせる自由さがあります。料理を盛れば外側の龍が現れ、器が空になると鳳凰が姿を見せる。内と外で異なる景色を愉しめる器です。

続いて、龍を描いた銘々皿。

同じ意匠で、小は直径14cm、中は15.2cm。見込みには呉須の濃淡を生かしながら龍を伸びやかに描き、周縁には連続する文様を巡らせています。

細部を整然と描くのではなく、勢いのある線で龍の姿を捉える。どこか愛くるしさのある表情にも、古い意匠をそのまま写すだけではない勝山らしさがあります。

取り皿や菓子皿として日々の食卓に取り入れやすい大きさで、古典的な龍文を現代の暮らしへと引き寄せた器です。

最後は、草花の中に龍を描いた5寸皿。

器面いっぱいに枝葉や花を広げ、その間から龍が姿を現します。古染付を思わせる呉須の柔らかな濃淡を残しながら、画面全体にはどこか現代的な軽やかさがあります。

古染付は、主に中国・明末期の景徳鎮民窯で焼かれ、日本へもたらされた染付磁器です。整いすぎない器形や、呉須の濃淡を生かした自由な絵付けは、日本の茶人たちにも好まれてきました。北大路魯山人もまた、古染付を含む古陶磁を蒐集し、その造形や絵付けから多くを学んだことで知られています。

鳳凰、龍、草花。

勝山の器を続けて視ていると、古い器の形や文様を忠実に再現することよりも、そこにある自由な筆致や意匠のおもしろさを拾い上げ、自分の器へと置き換えていったことが感じられます。

古染付から受け取ったものを、自分の筆で描き直し、いまの暮らしで使える器にする。

今回の4点にも、そんな吉田勝山の仕事がよく表れているように思います。

4点とも、megurumeguruのオンラインショップにてご紹介しています。