2026/09/20 06:37

今回紹介するのは、能登の市場から仕入れた3つの鉢です。
古い器を仕入れていると、同じ「鉢」という用途のなかにも、時代によってさまざまな意匠があることに気づきます。染付だけで構成されたもの、赤絵や金彩を加えたもの。それぞれに異なる美意識が残っています。
まずは、古伊万里 染錦 金彩 丸文 6寸鉢 太明年製 銘有。
赤を基調に、金彩を交えながら菊花や丸文などを細やかに配した6寸鉢です。中央には放射状に広がる文様が描かれ、周囲には小さな文様が連なる華やかな構成。外側には染付と赤絵による花文が施されています。
器そのものはそれほど大きくありませんが、内側を埋める細かな絵付けによって、密度のある1客に仕上がっています。
こちらは掲載準備中にご縁をいただきました。ご売約ありがとうございました。
続いて、古伊万里 染錦 金彩 鳳凰文 鉢。
こちらは赤絵、染付、金彩を大胆に組み合わせた鉢です。内外には鳳凰が大きく描かれ、赤と濃い染付を交互に配した区画にも金彩が加えられています。
中央には染付による風景文。器の中心と周囲で絵付けの性格を変えながら、全体としてひとつにまとめています。古伊万里らしい装飾性を存分に愉しめる1客です。
最後は、古伊万里 染付 花文 鉢。
こちらは染付のみで描かれた、すっきりとした鉢です。中央に花文を置き、内側の口縁には連続文、外側には大きく花や葉を巡らせています。
先の2客に比べると色数は少ないものの、そのぶん染付の濃淡や筆の動きが前に出ています。日々の食卓にも取り入れやすく、料理を盛ったときにも器だけが主張しすぎない佇まいです。
同じ能登の市場からやってきた3つの鉢。
華やかな染錦と金彩、力強い鳳凰、そして染付だけで構成された花文。こうして並べてみると、古い器に残された装飾の幅そのものがおもしろく感じられます。
