2026/10/02 17:15


先日から少しずつ紹介している、九谷の作家・吉田勝山の作品。

能登の市場でまとまって仕入れたもので、染付や色絵、花器や皿、水注など、その作品は思っていた以上に幅がありました。

今回は、その中から色絵の3点を紹介します。

まずは「勝山 色絵 花鳥文 9寸皿」。

約9寸の大皿ですが、九谷の色絵という言葉から想像する華やかさとは少し違います。

白磁を広く残しながら、淡い青緑の葉と白い花を伸びやかに描き、その間を小さな鳥が1羽飛んでいます。花や葉を細い線で縁取り、使われている色も少ない。そのため、大皿でありながらどこか軽やかで、涼やかな印象があります。

余白も含めて1つの絵として捉えているような作品です。

2点目は「九谷 勝山 色絵 金彩 石榴文 水注」。

こちらも白磁の余白を大きく残していますが、赤、緑、金彩で描かれた石榴が一気に華やかさを加えています。

石榴は多くの実を抱えることから、中国では古くから子孫繁栄などにつながる吉祥意匠として用いられてきました。

細長く伸びる注口、曲線を描く把手、蓋につけられた宝珠を思わせる摘み。こうした器形にも、中国陶磁を想起させる要素があります。

そして3点目は「勝山 色絵 金彩 龍文 急須」。

こちらは一転して、器面を文様で埋め尽くしています。

丸みのある器体いっぱいに龍を大きく描き、その周囲には花や波を思わせる細かな文様。赤、緑、黄、褐色などを細かく描き分け、ところどころに金彩を加えています。蓋にも龍文が続き、把手には花文が描かれています。

中国で元から明代にかけて展開した色絵磁器を思わせる、かなり華やかな意匠です。

こうして3点を並べてみると面白い。

余白を大きく残した花鳥文の皿。
白磁と色絵を対比させた石榴文の水注。
そして器面を文様で埋め尽くした龍文の急須。

同じ「勝山の色絵」でも、随分と表情が違います。

九谷の伝統的な色絵をそのまま繰り返すのではなく、中国陶磁などさまざまな意匠を取り込みながらも、現代に寄り添った意匠を自分なりに生み出していたのでしょう。

この間、勝山の制作アルバムを視て、勉強熱心なつくり手だったんだなと、改めて思いました。

これだけ絵付の表情が多彩なのも、そうした姿勢があったからなのかもしれません。

3点とも、オンラインショップに掲載しています。