2026/10/09 17:56

このところ紹介を続けている、九谷の作家・吉田勝山の作品。

いくつもの作品を並べていると、勝山の引き出しの多さに驚かされます。

今回紹介する2点も、まったく違った方向を向いています。

まずは、青磁の9.5寸皿。

中国・龍泉窯の青磁に通じる意匠を取り入れたと思われる作品です。

淡い青緑色の釉薬に、器面いっぱいに大きく牡丹の花が描かれています。色を重ねて華やかに装飾するのではなく、彫りによって花弁や葉を浮かび上がらせ、釉薬そのものの表情を楽しませる器です。

器全体には細かな貫入が広がり、光の当たり方によって牡丹の文様が静かに浮かび上がります。

これまで紹介してきた勝山の色絵とは随分と印象が違いますが、中国陶磁の意匠を取り入れながら、自分の作品へと落とし込んでいく姿勢は共通しているように思います。

もう1点は、赤絵による細密な幾何学文様が印象的な9.5寸皿。

こちらは制作途中で終わった未完の作品と思われます。

細い赤線を幾重にも重ね、菱形や編み目を思わせる文様を器面いっぱいに描いています。赤一色でありながら、文様の方向や密度を変えることで画面に動きが生まれ、どこか現代のグラフィックにも通じるような印象があります。

完成していたら、この先どのような絵付が加わっていたのでしょう。

未完だからこそ、その先を想像できるのも面白いところです。

こちらはすでに売約済みとなりました。ありがとうございました。

龍泉窯に通じる古典的な青磁と、モダンにも感じられる赤絵の幾何学文様。

同じ勝山の作品とは思えないほど違いますが、古い意匠を学びながら、それをそのまま繰り返すのではなく、自分なりの表現へ置き換えていく。

これまでいくつもの作品を扱ってきて、そんなところも勝山の魅力だったのだろうと思うようになりました。

青磁の9.5寸皿は、現在オンラインショップに掲載しています。