2026/08/02 17:43

古い器を扱っていると、「何に使う器ですか?」という質問をいただくことがあります。

もちろん用途を説明することはできます。でも、それ以上に伝えたいのは、その器がどんな時間を過ごしてきたのかということです。

今回ご紹介するのは、九谷焼らしい色彩を残しながらも、どこか現代的な感覚を持った3点です。

ひとつは、幾何学文様が軽やかに散りばめられたオーバル皿。

もうひとつは、深い緑から白へと移ろう釉薬が印象的な花器。

そして、小ぶりながら存在感のある持ち手付きの器です。

どれも華やかでありながら、決して主張しすぎない。だからこそ、日々の暮らしへ自然と溶け込んでいきます。

九谷焼というと、豪華絢爛な絵付けを思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし実際には、その時代ごとの感性を映しながら、多様な表現が生み出されてきました。

今回の器たちも、その流れの中で生まれたものなのでしょう。

大胆な余白。

幾何学的な文様。

落ち着いた色彩。

そのどれもが、古典を受け継ぎながら新しい表現を模索していた時代の空気を感じさせてくれます。

オーバル皿には、サラダやパスタ、焼き魚を盛り付ける。

花器には、庭先で摘んだ季節の草花を一輪だけ挿してみる。

持ち手付きの器には、お菓子や果物、小物をさりげなく置いてみる。

そんな何気ない暮らしの景色が自然と浮かんできます。

古道具の魅力は、完成された美しさではなく、使われることで少しずつ育っていく美しさにあります。

誰かが毎日の暮らしの中で選び、手に取り、季節を重ねながら使ってきた時間。その積み重ねが、器の表情になっているのだと思います。

だからmegurumeguruでは、「古いものだから価値がある」とは考えていません。

なぜ残っていたのか。

どんな暮らしを支えてきたのか。

そして、

これからどんな暮らしへ受け継がれていくのか。

その物語ごと、次の使い手へ手渡したいと考えています。

新しい器には新しい魅力があります。

一方で、時間を重ねてきた器には、新品では決して得られない静かな存在感があります。

食卓の上でも、棚の上でも、ふと目に入った時に少し気持ちが穏やかになる。

そんな道具が、暮らしにはひとつあるだけで十分なのかもしれません。

今回ご紹介した3点も、そんな時間をこれから先も積み重ねてくれる器だと思っています。

もし気になった方は、それぞれの詳細もぜひご覧ください。